公認心理師の心理カウンセリング Alma Mater
東京江戸川区|総武線新小岩|オンライン
精神科医の岡田尊司さんが何冊もの本を書くようになって、「愛着障害」という言葉を目にすることが多くなりました。
アダルトチルドレン(AC)や境界性パーソナリティー障害なども、愛着という視点から眺めてみるととてもわかりやすい気がします。
また発達障害と診断された人たちの中にも、実は幼い頃の愛着が不安定だったことが原因で落ち着きのなさや学業不振などが見られる場合もあり、とても重要な概念ではないかと思われます。
人は生まれてから2歳くらいまでの間は母親が一番重要な養育者であり、母親に対して愛着を感じます。
安定した愛着が持てると、子供は母親を安心基地として外界へ冒険にでかけることができるようになります。
そして外界で失敗したり傷ついたりすると母親の元に逃げ帰って思い切り泣きます。
そこで母親に「よしよし、怖かったね~、痛かったね~」と気持ちをわかってもらえると、子供はそのうちケロリと泣き止んで、再び外の世界へと遊びに行きます。
ところが、幼少時に母親との安定した愛着関係を築けないと、大きくなってから様々な生きづらさを感じてしまうのです。
安定した愛着が築けない原因としては、一番大きなものは母親からの身体的虐待、心理的虐待、身体的ネグレクト。そして意外と隠れているのが心理的ネグレクトです。
母親に軽度の発達障害がある場合、情動知能の働きが低い場合に、子供の情緒に対して適切に反応することができません。
ある親は子供の気持ちを考えずに自分の気持ちだけを押し付けて、なんでも親の思うとおりにさせようとしてしまうでしょう。
あるいは、親の反応に一貫性がないこともとても子供を混乱させます。
また、無反応な親もいます。
子どもが情動を発信してもそれに適切な反応が返ってこないことが繰り返されると、子供は感情を表現することを止めてしまい、表現されなくなった感情は本人にさえも気づいてもらえなくなります。
また、母親が精神疾患・障害を持っている場合にも子供は安心して母親に甘えることはできなくなり、自然な感情の流れが阻害されます。
安全基地を持たずに育ち、この世を生きていくことは、この世界がとても危険に満ちた場であり、人間は信用できず、自分はいつ見捨てられるかわからない、とても恐怖と不安に満ちた場となります。
安定した愛着関係を築けなかった人は、大人になってからこんな症状に苦しみます。
こうした心の状態が内側に向かえばうつ病などになり、外側へ向かえば境界性パーソナリティー障害などになる可能性があります。
不安定な愛着がもとで摂食障害になったりリストカットなど自傷行為に及んだりすることもあります。
子供を出産したことをきっかけに潜んでいた愛着障害が表面化することがしばしばあります。
産後でホルモンのバランスが変わったり、頻繁な授乳による睡眠不足なることに加えて、
無邪気な子供の姿に、自分が子供の頃に自由に親に甘えられなかったつらさや悲しさが思い出されたり、自分を愛してくれなかった(時には虐待された)親に対して持っていた無意識の敵意を、子供の中に投影してしまうからです。
我が子を見ていて可愛いと思うのに、泣き止まない赤ちゃんを見ているとつい暴力的なことをしてしまいそうな恐怖に襲われたりします。
もし自分の子供を虐待してしまいそうだと感じたら、なるべく早く誰かに助けを求めて下さい。
愛着障害を持った人にとって自分の子供は最初は脅威となることがありますが、愛着障害からの回復を手助けしてくれる最大のヒーラーが我が子だったりします。
愛着の絆を築くことを一番助けてくれるのは実は我が子なのです。
どんなに至らない(と自分で思っている)母親でも、赤ちゃんはまっさらな心で信頼し愛してくれるからです。
私の敬愛する精神科医の神田橋條治先生は、「おんぶすることで母子双方の愛着障害が治る」とおっしゃっています。
ウソかマコトか、ぜひ試してみてください!!
抱っこではダメで、おんぶです!!!
では、愛着障害は治るのでしょうか?
治ります。
そのためには、今から身近な誰かと安定した愛着関係を築き直していくことです。
昔は余裕がなかったけれど今なら実母と本音で話ができそうな方はぜひそうして下さい。
または、結婚していてもいなくても、異性のパートナーがいる方は、そのお相手が安心な愛着対象となってくれることを期待します。
ですが、必ずしもそういう対象がいなくても、愛着障害から回復することはできます。
自分自身の心の中に慈しみ深い「インナーマザー」を育てていくのです。
そのための第一歩に心理カウンセリングがお役に立てます。
カウンセラーとの間で信頼関係を感じることで、そこをかりそめの安全基地として下さい。
まずはカウンセラーと「一緒にいる」という感覚を育みましょう。
カウンセリングを続けながら、少しずつ傷ついた「インナーチャイルド」を癒し、同時にあなたの内部に「慈しむインナーマザー」を内面化させていきます。
同時に、愛着障害のある人は自分の感情を感じることが苦手なので、自分の心の中でいったいどういうことが起こっているのかということをカウンセラーと一緒に見つめていくこ
とが役に立ちます。
愛着障害のある人は、幼少の頃に「母親(またはその役割を担う人)」から「愛されていない」と感じることは耐え難いために、敢えて自分の感情を感じないようにしてしまうのです。
そのままずっと「感情を感じることは危険」だと無意識に思っています。
感情は苦しみや悲しみなどつらいものもありますが、それらを感じないようにすることは、同時に生きる喜びや楽しみを感じる能力をも失ってしまうのです。
だから、愛着障害からの回復のためには、自分の感情を丁寧に感じることをします。
専門用語でいうと感情を感じることは「フォーカシング」という手法を使ってもいいでしょう。
そして、どんな感情をどんな風に感じ、何を考えているのかを言語化していきましょう。
そういう一連の作業を「メンタライゼーション」とか「メンタライジング」と呼んだりします。
そして更に、自分の感じていることを適切に他者に伝える方法も一緒に学んでいきましょう。
自分を大切にしながら他者も大切にするコミュニケーションです。
「アサーション」「非暴力コミュニケーション」「共感的コミュニケーション」などと呼ばれている方法がお役に立ちます。
自分への信頼と安心感を築き直し、他者と共に生きて行けるようになることが愛着障害からの回復といえるでしょう。
自分は愛着障害かなと思ったら、どうぞカウンセリングにいらして下さい。
当サロンの屋号「Alma Mater(アルママーテル)」はラテン語で「はぐくみ育てる母」「魂の母」という意味があります。
あなたの心と魂を育むお手伝いをさせて頂けたら幸いです。
<Alma Materのカウンセリング料金>
心理カウンセリング60分 8,000円
愛着障害の中でも、まだお母さんのお腹にいた時に体験した愛着障害を「胎児期愛着障害」と呼びます。
お母さんが妊娠中に身体の状態が非常に悪かった場合やお母さんが精神的に過度のストレスや精神疾患を抱えていたために、子宮内環境が常に不安定となっていると、胎児はのんびりできずに絶えず次の変化に備える緊張のクセを脳に学習します。
胎児期愛着障害を持った人は常にハイテンションを維持しているために、ゆっくりのんびり、リラックスできないという特徴があります。
胎児期愛着障害の方には言葉によるカウンセリングでは改善が難しく、非言語的な癒しが必要です。
神田橋先生はおんぶの気功やイルカ療法などを勧められていますが、Alma Materではクラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)、バイオダイナミクス・オステオパシー、エサレン・マッサージなどのボディワークをお勧めいたします。
ボディー・タッチ、スキンシップは愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌を促すと言われています。
『愛着障害
子ども時代を引きずる人々』
岡田尊司著
『発達障害と呼ばないで』
岡田尊司著
『境界性パーソナリティー障害』
岡田尊司著
『消えたい』
高橋和巳著
(かなりヘビーな虐待を受けて育った方についての本です)
『愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法』岡田尊司著
『メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服』
『毒親の正体~精神科医の診察室から』
水島広子著
『母がしんどい』
田房永子著
『キレるわたしをやめたい』
田房永子著